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様々な相続手続の場面で何度も繰り返し必要になるのが「署名」と「捺印」です。
特に日本では「印鑑」が非常に重要な役割を担っている場合が多く、様々な書類に何度も押印しなければなりません。
押印については、いわゆる「認印」でよい場合と「実印」でなければならない場合とがあります。手続内容が重要であればある程「実印」での押印が必要ですし、その際には必ず「印鑑証明書」も必要になります。
印鑑登録は住民票を登録している市区町村役場で取得することができます。また、印鑑登録をしていない場合は手続き書類等を作成する前に登録しておきましょう。実印は通常の印鑑よりも一回り大きめの物にフルネームで作成する方が多いようですが、特に決まりはなくどのような印鑑でも登録することは可能です。また女性の場合は婚姻前に苗字を除いた「名前」だけで作成する方も多いようです。
但し、「実印」は印鑑の中でも非常に重要な印鑑となるため、普段使用する印鑑とは別にしておく方が良いでしょう。 |
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■割印と契印の違い |
【遺産分割協議書とは?】のページでも触れましたが、遺産分割協議書が複数枚になった場合には、書類と書類のつなぎ目に「契印」を押します。(下図参照) |
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このようなページのつなぎ目に押す印鑑を「割印」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、「割印」と「契印」には根本的な違いがあります。
「割印(わりいん)」とは、異なる2つの書類について、相互に関連があることを確認するために、2つの書類にまたがって押印するものです。
一方「契印(けいいん)」とは、2枚以上の文書からなる書類が一つながりのものであることを確認するために押印するものです。 |
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■捨印の注意点 |
契約書や申込書などの記入で間違いや誤字脱字などがあった場合、通常は訂正個所に「訂正印」を押印します。
自分ひとりだけのことであれば、その場で加筆修正をして訂正印を押すことは簡単にできます。
しかし、遺産分割協議書のように複数の相続人が押印しなければならない場合で、特に相続人が遠方にいる場合などは訂正印一つだけでも非常に手間と時間がかかってしまいます。
そこで訂正印の代わりとなるものとして「捨印」というものがあるのです。
「捨印」の欄がある文書の場合、記載内容に加筆修正等があったとしても、一つひとつの修正箇所に訂正印をする必要はなく、捨印の横などに「○字削除、○字追加」などと記せばよいのです。
例えば、遺産分割協議書に記載した生年月日が間違っていたというような場合、捨印があれば簡単に修正して提出することができます。しかし、捨印がない場合には、相続人全員に再度押印してもらわなければならないのです。
一見、この捨印は非常に便利なものと感じるかもしれませんが、悪用される可能性もあるということを理解しておきましょう。
一般的に「捨印」で修正できるのは微細なものというイメージを持っているかもしれませんが、捨印によって訂正できる範囲や限度などに決まりはありません。
つまり、金額を修正したり、分割内容を変更するような修正をしたとしても、捨印で修正可能ということになるのです。ある意味「白紙の委任状」にハンを押すのと同じと考えることもできます。
司法書士などの専門家に依頼した場合、当然のように「捨印」を求められることが多いのですが、こういった専門家が不正を行うということは考えられませんので、迅速に手続をするためには捨印を押しておく方が良いでしょう。
ただし、専門家に依頼せずに手続を行う場合は無闇に捨印を押すことは避けた方が良いでしょう。 |
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最後に、様々な押印の種類についてまとめると下図のようになりますので覚えておきましょう。 |
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