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【1.相続の基礎知識】 -16.死亡退職金は相続財産か? |
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故人が在職中に死亡した場合に「死亡退職金」や「弔慰金」などを受け取ることがありますが、これらが相続財産にあたるかどうかについては様々な判断がありますので注意が必要です。
具体的には「死亡退職金を受け取る権利」が誰にあるのか?というそれぞれの支給規定によって異なります。
例えば死亡退職金を受け取ることができる人を本人以外の具体的な人と規定している場合には、その受取人固有の権利と解釈(最高裁昭和55年11月27日判決、最高裁昭和60年1月31日判決)されるため、相続財産とはなりません。
死亡退職金は遺族の生活保障という性質が強いので、生計を一にしていた方が第一順位になっている場合が多く、仮に内縁関係であったとしても妻が受給権者となるケースが多いようです。
このように法定相続人ではない方が受け取った場合には、相続財産であるかどうかという議論はそもそも存在しないことになります。
しかし、具体的な規定がない場合や受給権者が被相続人本人となっているような場合には相続財産となります。
但し、受給権について具体的な規定がない場合に関しては判断が分かれることが多く、確立された判例もありません。支給額や支給の経緯など様々な点を考慮して個別に判断しなければなりませんので、弁護士に相談されることをおすすめします。
死亡退職金の受給に関して、特に注意が必要なのが、故人に多額の債務があり「相続放棄」しようと考えているという場合です。
上記のように死亡退職金の支給に関して具体的な規定がなく、相続財産と認定される死亡退職金を受け取ってしまった場合には「単純承認」してしまったことになるため、その後「相続放棄」をすることができなくなってしまいます。
逆に、支給規定によって相続財産とはならない場合であれば、死亡退職金を受け取っても「相続放棄」をすることが可能です。
また、死亡退職金が相続財産に含まれないと言う場合であっても、特定の相続人が多額の死亡退職金を受け取ることは「特別受益」にあたると判断されるケースもありますので注意しましょう。
尚、相続人にとって「分割対象財産」とならなくても、相続税法上は「みなし相続財産」となり、相続税の対象となりますので混同しないようにしましょう。 |
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