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相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者は遺産分割協議に参加することができません。
一般的な法律行為を未成年者がする場合、法定代理人(父母など)の同意によって行うことができますが、相続の場合では「利益相反行為」となってしまうケースがあり、父母が未成年者の代理人になることができないことがあります。
「利益相反行為」とは、一方の利益を優先することによって他方の利益が侵害されるということで、例えば下記のような事例で考えてみましょう。
法定相続人は、被相続人の配偶者と長男、長女、次男の計4人ですが、次男は未成年です。
ここで、配偶者(次男の母親)が法定代理人として次男の代わりに遺産分割協議に参加した場合、自分が相続する分を増やすと、次男の相続分を減らすことになってしまいます。
このような事態を避けるため、配偶者(次男の母親)は次男の代理人となることができないのです。
そこで、次男の権利を保護するために利害関係のない人に代理人になってもらい、次男の代わりに遺産分割協議に参加します。この代理人を「特別代理人」と言います。 |
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特別代理人の選任は家庭裁判所に申し立てをします。家庭裁判所が勝手に選任するわけではなく、申立人が「候補者」を選びます。
一般的には未成年者にとっての祖父母や叔父、叔母などを選任することが多いようですが、親族関係のない第三者を選任することも可能です。 |
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≪申立てするところ≫
未成年である子の住所地である市町村を管轄する家庭裁判所で行います。直接裁判所に行かなくても、郵送で申請することも可能です。
≪必要書類≫
・特別代理人選任の申立書 1通
・申立人の戸籍謄本 1通
・子の戸籍謄本 1通
・特別代理人の候補者の戸籍謄本、住民票 各1通
・資料となる書面(遺産分割協議書の案)など
※重複する書類(例えば、申立人の戸籍謄本と子の戸籍謄本など)は1通あれば大丈夫です。
≪費用≫
・子一人あたり800円の収入印紙
・郵便切手 510円×子どもの人数(札幌家庭裁判所の場合)(追加の場合もあります)
※実際に申立てをする際には各家庭裁判所に確認して下さい
≪手続の流れ≫
◆戸籍など必要書類を用意する
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◆申立書の作成(下記の記載例を参考にして必要事項を記入して下さい)
↓ ※郵便切手の必要金額について家庭裁判所に確認しましょう。
◆申立書と添付書類を家庭裁判所に持参するか郵送します
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◆書類提出後家庭裁判所からの申立人と候補者に対して照会書(質問書)が届きます
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◆回答書に必要事項を記入して返送します
↓
◆家庭裁判所から「特別代理人選任審判書」が郵送されてきます
↓ ※これで特別代理人選任手続は完了です。 |
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≪特別代理人選任の申立書 記載例≫ |
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申立書と記載例をダウンロードする→ |
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※各種情報はできるかぎり最新の事項を掲載しておりますが、実際にお手続をされる際にはあらためて関係機関にご確認下さいますようお願い致します。また、こちらに記載の情報を基にお客様ご自身がお手続きされた際に生じたトラブル、損失等に関して弊社は一切関知致しませんのでご了承下さい。 |