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【4.相続手続の基礎知識】 3-3.不動産の分割方法あれこれ |
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相続財産には様々なものがあります。現金や預貯金などはその価値が誰にとっても同じであり、また分割することも容易です。
例えば、2,000万円の現預金を残して亡くなった夫の相続財産を妻と子ども2人が相続する場合であれば、法定相続分に応じて妻が1,000万円、子どもがそれぞれ500万円ずつ受取るということにすれば、非常に公平な分割となります。(もちろん、法定相続分で分割しなければならないというわけではありません)
しかし、現金や預貯金などとは違い、建物や土地といった不動産の場合にはなかなか公平に分割することが難しいと言えます。
相続人間での話し合い(遺産分割協議)が円満に行えるケースであれば、相続人の誰かが単独で相続することが可能でしょうが、なかなかそうはならないといったことも多いというのが現実です。
また相続財産の中に複数の不動産がある場合には、各相続人の考え方やそれぞれの状況によって不動産に対する価値観は大きく異なりますので、誰がどの不動産を相続するかが争いになってしまうこともあります。
不動産の評価方法には様々な種類があり、評価方法によって相続人の間に不公平感が起こってしまうこともありますので、不動産の評価については全てに対して同じ評価方法を用いることが大切です。一般的には相続税申告をする際に利用する評価方法で統一するといったケースが多いようです。
不動産の分割方法にはいくつかの種類がありますが、各相続人にとって最も公平になると言えるのは「換価分割」という方法です。
これは、不動産を売却して現金化することによって、各相続人が受取るという方法です。現金という誰にとっても同じ価値の財産になりますので、公平に分割することが可能です。
しかし、実際にはその不動産に相続人の誰かが住んでいるという場合もありますので、単純に話し合いがまとまらないことも多いでしょう。また、簡単に買い手が見つからないような山林などの場合は換価することが難しいでしょうし、不景気の時代ですので、仮に便利な場所であったとしてもなかなか買い手が見つからないといったことも多いでしょう。
次の分割方法は「代償分割」という方法です。
これは、相続人の誰かがその不動産を単独で相続する代わりに、その他の相続人に対して現金を支払うという方法になります。
例えば、母親が亡くなり子ども3人が相続人になるというケースの場合で、長男が母親と同居していたので、そのまま自宅を相続するとします。仮にその他の相続財産が何もない場合、長男だけが不動産を相続することで、他の兄弟が不満に思うということもあるでしょう。
そこで、不動産の価値が1,500万円だった場合、それぞれの法定相続分は500万円ずつということになりますので、長男は自宅を相続する代わりに、兄弟2人に対してそれぞれ500万円を支払うという方法です。
もちろん、このように単純にはいかないといったケースも多いでしょう。実際には、母親の看護や介護を誰が主としてやってきたかという「寄与分」であったり、「生前の贈与」や「特別受益」などといった問題が複雑に絡み合うということも多くなってしまいます。
また、相続財産が自宅のみだった場合、自宅を相続する長男が兄弟に支払う現金がないといった場合も考えられます。一見公平に見える分割方法ではありますが、実際には難しい問題もあるというのが現実と言えるでしょう。
次の分割方法は「共有分割」です。
これは文字通り複数の相続人によって不動産を共有するという方法になります。
相続人が確定しない不動産については、法定相続分に応じた持分で相続人全員の共有となっています。これは特段の手続や申請、登記を行わなくても法律上自動的に共有となります。また、複数の相続人がいる場合に、遺産分割協議によって相続人の内の一部が共有するという場合もあるでしょう。
例えば、夫が死亡して妻と子ども3人の計4人が法定相続人の場合、4人全員の共有とすることも可能ですし、妻と長男2人の共有とすることも可能です。(あくまでも相続人の話し合いによって決めることになります)
上記の場合、4人が法定相続分に応じて共有することにすれば、それぞれの持分は妻が1/2、子どもたち3人がそれぞれ1/6ずつということで登記されます。もちろん、遺産分割協議があればそれぞれの持分を自由に設定することも可能です。
法定相続分に応じて共有にすることは一見公平な分割と言えるかもしれません。しかし、権利者の数が多くなればなるほど使用や管理についてもめることも多くなってしまいます。また、共有者が死亡した場合には、さらに権利者が増えてしまう可能性もあります。
遺産分割や所有権移転登記をしないままでいると、相続人である方が亡くなり、次の相続が発生することによって相続人の数が増えてしまいます。このようになると手続きが非常に面倒になりますので、できるだけ早く所有権移転登記をすることが望ましいと言えます。 |
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※各種情報はできるかぎり最新の事項を掲載しておりますが、実際にお手続をされる際にはあらためて関係機関にご確認下さいますようお願い致します。また、こちらに記載の情報を基にお客様ご自身がお手続きされた際に生じたトラブル、損失等に関して弊社は一切関知致しませんのでご了承下さい。 |
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