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【4.相続手続の基礎知識】 4-2.準確定申告とは? |
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所得税については、サラリーマン等の場合は源泉徴収という方法によって給料から天引きされていますが、事業を営んでいる方や複数の会社から給与をもらっている方など一定の要件に該当する人は「確定申告」をして所得税を納付します。
確定申告は1月1日から12月31日までの所得について、翌年と2月16日から3月15日までの期間内に申告します。
確定申告をしなければならない人が亡くなった場合、当然本人が確定申告することはできませんので相続人が代わって申告しなければなりません。これを「準確定申告」と言います。
故人が前年の確定申告をせずに2月16日から3月15日までの間に亡くなった場合は、前年分の準確定申告と共に、その年の1月1日から亡くなった日までの分の準確定申告もしなければなりません。
3月16日以降に亡くなった場合には、その年の1月1日から亡くなった日までの分の準確定申告をすることになります。
準確定申告には期限があり、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内となりますので注意が必要です。前年分の申告についても、3月15日が期限とはならず4ヶ月以内です。例えば、3月14日死亡した方であれば、翌日までに前年分の申告をしなければならないということにはなりませんのでご安心下さい。
また、相続税に関しては、控除の範囲内であれば申告の必要はありませんが、準確定申告については仮に納税額が発生しなかったとしても申告しなければなりません。
■サラリーマン等でも準確定申告が必要な場合
一般的なサラリーマン等の給与所得者は確定申告の必要がありませんので、当然その方が亡くなっても準確定申告をする必要もありません。
しかし、サラリーマンでも下記のような場合には確定申告の必要がありますので、その方が亡くなった際には準確定申告をしなければなりません。過去に確定申告をしていなかった方でも、亡くなった年やその前年に下記の要件に該当する場合には準確定申告が必要ですので注意しましょう。
≪準確定申告が必要となる人≫
(1)給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
(2)1か所から給与所得を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額
の合計額が20万円を超える人
(3)2か所以上から給与所得を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と
給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注)給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の
各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所
得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
(4)同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受
け取っている人。
(5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
(6)給与の支払を受ける際に源泉徴収をされないことになっている人
(7)退職金の支払を受けた人で次の要件のいずれにも該当する人
イ 退職金の支払を受ける時までに、「退職所得の受給に関する申告書」を提出
しないで、20%の税率で源泉徴収された人
ロ その退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉
徴収された金額よりも多くなる人
注)給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りません。
1 配当所得のうち、源泉分離選択課税や確定申告不要制度を選択したもの
2 上場株式等の譲渡による所得で源泉分離課税を選択したもの
3 雑所得のうち源泉分離課税とされる割引債の償還差益
4 利子所得や証券投資信託の収益の分配で源泉分離課税とされるもの
5 抵当証券などの金融類似商品の収益で源泉分離課税とされるもの
6 懸賞金付預貯金等の懸賞金等で源泉分離課税とされるもの
■準確定申告の手順と方法
≪申告書の提出先≫
準確定申告は相続人が行うことになりますが、提出先については相続人の住所地の税務署ではなく、被相続人(故人)の住所地の税務署となります。
≪申告の期限≫
相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。前年分の申告をせずに3月15日までに亡くなった場合の前年分の申告期限も同様に4ヶ月以内となります。但し、前年分の申告をせずに3月16日以降に亡くなった方(無申告)に関しては、上記4ヶ月以内という特例の適用がありませんので、できるだけ早めに提出しましょう。
≪申告する人≫
準確定申告をするのは相続人です。相続人が複数いる場合には通常は各相続人が連署で申告しますが、各相続人が個別に申告しても構いません。個別に申告する場合には、他の相続人の氏名を付記し、他の相続人に対して申告内容を通知しなければならないことになっています。但し、相続放棄をすると、その相続人ははじめから相続人ではなかったことになりますので、準確定申告において連署したり、申告書を提出する必要はありません。
≪各種控除の適用について≫
(1)医療費控除について
医療費控除の適用対象となるのは、被相続人が死亡日までに支払った医療に限定されます。被相続人の死後、相続人が支払った医療費は控除の対象とはなりません。例えば、故人が入院したまま亡くなった場合、死後に入院費や治療費などの支払をした場合、その金額は医療費控除の対象外となってしまいますので注意しましょう。
(2)社会保険料・生命保険料・地震保険料控除等について
これらの保険料控除に関しては、死亡日までに被相続人が支払った金額が控除の対象となります。年末に郵送されてくる「控除証明」の金額にはならない場合がありますので注意しましょう。
(3)配偶者控除・扶養者控除等について
これらの控除に関しては、死亡した日の現況により判定されます。
≪誰が納税するかまたは還付を受けるか≫
準確定申告によって納税額が発生する場合は、法定相続人が納税しますし、逆に税金が戻ってくる(還付される)場合には、法定相続人が受取ることになります。納税や還付は、法定相続分に応じて納付や受取りを行いますが、遺言によって相続分が指定されている場合にはその指定割合に応じて納付(または還付)します。
例えば、夫が亡くなり妻と子ども2人の計3人が法定相続人となる場合で、準確定申告の納付税額が20,000円であれば、各相続人の納付税額は妻が1/2の10,000円、子どもはそれぞれ1/4の5,000円ずつとなります。
尚、これまでの申告を税理士等に依頼していた場合には、準確定申告もそのまま依頼することが最もスムーズと言えます。
税理士に依頼していなかった場合、ご自分で申告することも可能です。税務署で相談をすれば申告書の作成方法などを教えてくれます。2か所以上の給与所得がある場合や、不動産所得がある場合などであれば、ご自分で申告することも十分可能と言えます。但し、事業を行っていた場合などで収支計算が複雑な時は税理士に依頼した方が良いかもしれません。 |
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