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【4.相続手続の基礎知識】 4-4.相続税の計算方法とは? |
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相続税を計算するには、現金や預貯金、不動産などと言ったプラスの財産から債務や葬儀費用、非課税相続財産を差し引き、それに相続時精算課税制度を適用した贈与額を加算し、基礎控除額を差し引いた額が「課税遺産総額」となります。
尚、「課税遺産総額」の計算方法については【相続税の仕組みとは?】のページをご参照ください。
相続税の税率は下表のようになっています。(平成27年1月1日以降開始分は一部改正となります) |
課税標準 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
なし |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円超 |
50% |
4,700万円 |
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相続税の計算は非常に複雑で、受取った財産に応じて上記の表に当てはめて計算されるわけではありません。ここでは、以下のような事例について各相続人の納税額を計算してみます。
≪事例≫
・夫が亡くなり遺産総額は5億円だった
・法定相続人は故人の妻、及び長男、二男の計3名
・生前に相続時精算課税制度を利用して長男の住宅取得資金として2,000万円贈与した
・生命保険金として5,000万円妻が受取った
・死亡退職金として3,000万円妻が受取った
・葬儀費用として200万円かかった
・故人名義の債務は8,000万円あった
・死亡の前3年間の贈与額は5,000万円だった
遺産額=遺産総額+相続時精算課税適用の贈与額−(非課税財産+葬儀費用+債務) です。
5億円+2,000万円(相続時精算課税適用の贈与)
+5,000万円(生命保険金)+3,000万円(死亡退職金)
−(3,000万円(※)+200万円(葬儀費用)+8,000万円(債務))=4億8,800万円
※ 生命保険金の非課税分 500万円×3人=1,500万円
※ 死亡退職金の非課税分 500万円×3人=1,500万円 計3,000万円が非課税財産
正味の遺産額=遺産額+相続開始前3年以内の贈与額 です。
4億8,800万円 + 5,000万円 =5億3,800万円(正味の遺産額)となります。
さて、相続税額を計算する際にはこの正味の遺産額に税率を掛けて計算するわけではありません。
実際の遺産分割の額や割合に関係なく、一端「法定相続分」通りに分割したと仮定して各相続人の税額を計算します。
法定相続分で分割すると
妻 : 1/2 × 5億3,800万円 = 2億6,900万円
長男 : 1/4 × 5億3,800万円 = 1億3,450万円
二男 : 1/4 × 5億3,800万円 = 1億3,450万円 となります。
ここで上記の税率表が登場します。各人共に3億円以下の欄が適用され、控除額が1,700万円で税率が40%となりますので、それぞれの税額は
妻 : (2億6,900万円×40%)−1,700万円 = 9,060万円
長男 : (1億3,450万円×40%)−1,700万円 = 5,380万円
二男 : (1億3,450万円×40%)−1,700万円 = 5,380万円 となります。
上記の合計額1億9,820万円(9,060万円+5,380万円+5,380万円)が相続税の総額となります。
ここまでの計算は「法定相続分」によって分割されたと仮定した額でしたが、実際には法定相続分とは関係なく分割されている場合がほとんどです。この場合、上記で計算された税額をそれぞれが納付するのでは不公平となってしまいます。
そこで、上記の相続税合計額(1億9,820万円)を実際に相続した割合に応じて按分します。
ここでは分かりやすくするため、妻が遺産全体の70%、長男と二男がそれぞれ15%ずつを相続したと仮定します。この割合によって納税額を各人が負担することになりますので、それぞれの納税額は下記のようになります。
妻 : 1億9,820万円(相続税合計額) × 70%(取得割合) = 1億3,874万円
長男 : 1億9,820万円(相続税合計額) × 15%(取得割合) = 2,973万円
二男 : 1億9,820万円(相続税合計額) × 15%(取得割合) = 2,973万円
これで各相続人の納税額が確定したというわけではありません。上記で計算された額に対して更に様々な条件によって「税額加算」あるいは「税額控除」をした上で各人の納付額が確定となります。
◆「税額加算」について
一般的には上記のように、被相続人の配偶者や子どもなどが相続するケースがほとんどかもしれませんが、遺言がある場合には血縁関係が薄い方や、全く血縁関係のない方が財産を取得するといったこともあるでしょう。
この場合、身近な家族が払う税金と、遠い親戚や血縁関係のない人が払う税金が同じであることは不自然であるという考え方により、血縁関係が薄い、若しくは全くない人の場合には相続税が20%加算されます。これを「相続税額の加算」と言います。
税額が加算されるのは、下記に挙げる人「以外」の方となります。
・被相続人の配偶者
・被相続人の1親等の血族(親と子供)
・代襲相続人である被相続人の孫(※)
つまり、被相続人の兄弟姉妹や全く血縁関係のない第三者などが相続、遺贈によって財産を取得した場合には20%の税額が加算されます。
※被相続人の子が既に死亡している場合には、その子(孫)が代襲相続人となり、この場合には税額加算はありません。要するに、子が生きている場合は法定相続人とはなれない「孫」に対して遺贈させた場合には税額加算の対象となるのです。
養子は実子と同じ扱いになり、被相続人の一親等ですから20%の税額加算はないというのが原則となりますが、「孫が被相続人の養子になっている場合」には税額加算の対象となりますので注意しましょう。これは、孫を養子にすることによって孫は相続税の課税を1回免れることになるため、税額を加算して調整されるのです。
◆「税額控除」について
相続税の「税額控除」には6つの種類があり、当てはまるものがあれば全て適用することが可能です。
1.配偶者控除(配偶者の税額軽減)
@配偶者が相続する割合が法定相続分以下の場合は相続税はかかりません。
A配偶者が相続する財産が1億6,000万円以下の場合は相続税はかかりません。
但し、配偶者控除を利用するためには、10ヶ月以内に遺産分割協議、相続税の申告及び納付を済ませておくということが原則となります。
2.未成年者控除
法定相続人に未成年者がいる場合は、未成年者が20歳に達するまでの年数1年につき、6万円が控除されます。
(20歳 − 相続開始時の年齢) × 6万円 = 未成年者控除額
※相続開始時の年齢が1年未満の端数については1年として計算します。
3.贈与税額控除
相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の対象として遺産額に加えますが、贈与時に既に贈与税を払っているという場合には、二重課税を防止するために相続税から控除できます。
4.障害者控除
@法定相続人が一般障害者の場合は、対象者の年齢が満70才になるまでの年数1年につき6万円が控除されます。
(70歳 − 相続開始時の年齢) × 6万円 = 一般障害者控除
A法定相続人が特別障害者の場合は、対象者の年齢が満70才になるまでの年数1年につき12万円が控除されます。
(70歳 − 相続開始時の年齢) × 12万円 = 特別障害者控除
※相続開始時の年齢が1年未満の端数は1年として計算します。
5.相次相続控除
「相次相続」とは、相続が相次いで起こることを言います。短期間に相次いで相続があった場合、相続人の税負担が非常に重くなってしまうために設けられた控除で、10年以内に2回以上の相続があった場合には前回の相続で納付した相続税の一定割合が、今回の相続税から控除できます。
6.外国税額控除
取得した財産が日本国外にあるという場合について、その財産について相続税に相当する課税がなされているという場合には二重課税を防止するために日本国内で相当する税額を控除できます。 |
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