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一生のうちで「戸籍」を取得することは、それほど多くないでしょう。結婚やパスポートの申請、そして相続手続などは、一生のうちで何度も訪れるものではありません。
さて、そもそも「戸籍」とはどのようなものなのでしょうか?
「戸籍」とは、日本国籍の者について、氏名や生年月日と言った情報や、出生、親子関係、婚姻、離婚、養子縁組、離縁、認知、死亡などといった身分関係が記載された公文書のことで、これは日本独特の制度です。
現在の戸籍制度では、「夫婦及びこれと氏を同じくする子」ごとに戸籍が編製されることになっているので、一つの戸籍には最大で「夫婦と夫婦の間の未婚の子」の二世代が記載されます。
古い制度では「家」が主体となっていたので、祖父母や叔父、叔母、甥姪やそれらの配偶者など多くの親族が一つの戸籍に記載されていたこともあります。しかし、現在は三世代が同一の戸籍に記載されることはなく、「夫婦単位」で別々の戸籍となります。
では、出生してから死亡するまでの間、どのように戸籍が編製されていくのかを見てみましょう。
・山田太郎(父)さんと花子(母)さんとの間に、あなたが生まれ一郎と命名されました。
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・市区町村役場に出生届を提出することによって、一郎さんは太郎さんの戸籍に入籍します。
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・月日が流れ、一郎さんは鈴木友子さんと結婚することになりました。
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・一郎さんと友子さんとの婚姻によって新しい戸籍が編製されます。
↓ ※一郎さんは(父)太郎さんの戸籍から「除籍」されます。
↓ ※仮に両親と同居したとしても戸籍は別々になります。
・一郎さんと友子さんの間に(長男)幸一君が生まれました。
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・出生届によって一郎さんの戸籍に幸一君が入籍します。
↓ ※幸一君が結婚すると一郎さんの戸籍から除籍されます。
・一郎さんが死亡しました。
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・一郎さんの戸籍から一郎さんが除籍されますが、死亡しても筆頭者は変更されません。
↓ ※一郎さんの戸籍には妻の友子さんだけが記載されています。
・妻の友子さんが死亡しました。
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・一郎さんの戸籍から友子さんが除籍となります。
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・一郎さんの戸籍に誰もいなくなったため戸籍そのものが「除籍」となります。
実際には、法律による改製があったり、本籍地を異動させたりすることで「除籍」や「編製」が何度か繰り返されることになります。
戸籍と似た書類に「住民票」がありますが、住民票は住所地を証明するための公文書であり、身分関係を証明する戸籍とは全く別物ですので勘違いしないようにしましょう。
戸籍に記載されている「本籍地」は、そこに住んでいる必要はなく日本の国土であればどこに本籍地を置いても構わないことになっています。例えば、北方領土や竹島、尖閣諸島などに本籍を置くことも可能であり、近年はこれらの土地に本籍を置く人が増えているようです。
実際には竹島の場合であれば「島根県隠岐郡隠岐の島町竹島官有無番地」と言う本籍地での申請が可能です。
但し、戸籍を取得するには本籍地の市区町村役場に申請しなければならないので、遠方に本籍がある場合は郵送によって請求しなければならないので注意しましょう。 |
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■謄本と抄本の違い |
戸籍を取得する場合「謄本」と「抄本」とがありますが、どのような違いがあるのでしょう。
「謄本」とは、原本の内容を全部写して作った文書のことであり、「抄本」とは原文の一部分のみを写した文書の意味です。
つまり、「戸籍謄本」は戸籍に記載されている内容の全てを証明したもので、現在は「戸籍全部事項証明」と呼ばれています。また、「戸籍抄本」は指定した個人の分だけを証明したもので、現在は「戸籍個人事項証明」と呼ばれています。
相続手続では、ほとんどの場合「謄本(全部事項証明)」を請求することになります。 |
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■どうして古い戸籍まで必要なの? |
不動産登記をはじめとして、相続手続をする際にはほとんどの場合、被相続人が出生してから死亡するまでの連続した戸籍の提出を求められます。なぜなのでしょう?
ほとんどの方は「相続人は妻である自分と、息子の太郎、娘の花子の3人です。」などといったようにすぐに答えることができるでしょう。しかし、それを法的に証明する手段は戸籍しかないのです。
戸籍には個人の様々な歴史(出生、結婚、離婚、養子縁組などのできごと)が記載されています。この戸籍を生れた時から亡くなるまでひとつながりになるようにすることで、初めて法的な相続人が確定されることになるのです。
上記のように「相続人は自分と太郎と花子の3人です」ということを金融機関や法務局の人に対して証明するためには、故人が生まれた時から亡くなるまでの連続した戸籍がどうしても必要になってしまうのです。 |
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