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■戸籍謄本と抄本の違い |
「謄本」とは、ある文書の内容全部を写したものであり、「抄本」とは、ある文書の一部を写したものを意味します。戸籍の場合であれば、戸籍簿に記載されている事柄の全てを写したものが「戸籍謄本」で、特定の個人のみに関する部分を写したものが「戸籍抄本」となります。
平成6年の法改正によって電算化された現在の戸籍の場合には、戸籍謄本は「全部事項証明書」、戸籍抄本は「個人事項証明書」と言います。
様々な手続の際「戸籍抄本が必要」となっている場合であれば、抄本、謄本どちらでも受け付けてくれますが、「戸籍謄本が必要」となっている場合に抄本を提出しても手続できない場合がありますので注意しましょう。 |
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■除籍謄本とは?
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除籍謄本とは、その戸籍に在籍する人全てが死亡や婚姻などによって「除籍」されたことによって、戸籍そのものが「除籍」となったものを言います。
戸籍に記載された「個人」がその戸籍から「除籍」されることと、戸籍そのものが「除籍」となることは根本的な意味が異なりますので注意して下さい。
相続手続をする際に、金融機関などの窓口で「除籍謄本を持ってきて下さい」と言う方がいますが、手続をする側にとっては非常に紛らわしい言い方です。多くの場合は「被相続人が除籍になっている戸籍謄本を持ってきて下さい」という意味で使っているのでしょうが、言われた方は市町村役場の窓口で「除籍謄本が欲しい」と伝えてしまうでしょう。
市町村役場の窓口では、この言葉をそのまま受け止めて「戸籍そのものが除籍となった謄本」を渡してくれるでしょう。でも、その除籍謄本を持っていっても「これではありません」と言われてしまいます。
「個人の除籍」と「戸籍そのものの除籍」という全く違う意味を持ってしまう場合があるので「除籍」の意味を正しく理解しておきましょう。 |
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■改製原戸籍とは? |
明治時代に現在につながる戸籍法が施行され、現在に至るまでの間にその様式は何度も変遷してきました。
通常は婚姻や転籍することなどによって、新たに戸籍が編製されたり除籍されたりしますが、法律による改製は、ある意味強制的に戸籍が作りかえられることになります。この、法律の改正によって作り変えられた古い戸籍のことを「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」と言います。
【戸籍の読み取り方】のページに記載の通り、戸籍を遡る作業をする上では「戸籍の始まり」と「戸籍の終わり」を読み取ることが重要です。「婚姻」「離婚」「転籍」「出生」「死亡」など、様々なキーワードがありますが「改製」というのも非常に重要なキーワードとなります。 |
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■住民票と戸籍の違い |
戸籍は、親子関係や姻族関係などを公的に証明するための書類であり、婚姻関係や親子関係、養子縁組などといった身分に関する事柄が記載されています。現在の戸籍制度では夫婦単位で戸籍を編製することになっており、昔のように三世代が一つの戸籍に入ることはなくなりました。
一方、住民票は個人単位で作成されるもので、個人の居住地を証明するための書類と言えます。
住民票に記載されるのは下記の事項です。
(1)氏名
(2)生年月日
(3)性別
(4)世帯主の氏名及び世帯主との続柄 ※省略可能
(5)戸籍の表示(本籍地) ※省略可能
(6)住民となった年月日
(7)住所及び転居したものについては、その住所を定めた年月日
(8)届出の年月日及び従前の住所
本籍地は日本中どこにおいても構いませんが、住民票は実際に居住している市町村に住民登録しなければなりません。
戸籍の様式は法律によって定められていますが、住民票には決められた様式がないため各市町村によって違いがあります。また、戸籍を取得するための手数料は日本中どこの自治体で請求しても同じ料金ですが、住民票については自治体によって若干の違いがあります。一般的には300円程度ですが、200円と言う自治体もありますし、500円という自治体もあります。郵送で請求する場合には事前に各自治体に確認するようにしましょう。 |
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■戸籍の附票とは? |
戸籍の附票とは、住民票所在地の異動履歴を記載した文書のことです。
居住地を証明する書類としては「住民票」がありますが、これは居住地の市町村が管理するものであるのに対し、戸籍の附票は本籍地の市町村が管理します。
引っ越しをした際、戸籍はそのままにして住民票だけを異動するという場合も多いと思います。例えば本籍地は北海道岩見沢市に置いたまま、住民登録を東京都板橋区で行うというケースです。
板橋区で住民登録をすると、板橋区役所から岩見沢市役所に通知があり、岩見沢市役所では戸籍の附票に住所地を記載します。この後板橋区から大阪市、仙台市に転居した場合、戸籍の附票には大阪市、仙台市の住所が順に記載されていきます。
つまり、住民票は現在の住所地を証明する文書であるのに対して、戸籍の附票は現在の住所地と共に、住所地の変遷を記録した書類ということになります。
不動産の名義変更をする際などで、登記簿に記載された住所と現在の住所が異なるといったケースはよくありますが、それを証明する手段として戸籍の附票を使用します。
尚、戸籍の電算化により戸籍の附票も電算化されます。電算化によって改製された戸籍の附票は「改製原戸籍の附票」と言いますが、この保存期間は5年間と定められています。そのため、自治体によっては古い戸籍の附票を取得することが困難となっています。
上記のように登記簿上の住所と、実際の住所が異なる場合には戸籍の附票によってその所有権を確認することになりますが、改製原戸籍の附票が手に入らないと住所地の変遷が確認できないため登記をする際には「上申書」を提出しなければならず、手続が非常に面倒になってしまいます。 |
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■住民票の除票とは? |
住民票は通常、居住地の市町村役場に住所登録をすることによって作成される公文書です。しかし、引っ越しによって他の市町村に転出した場合や死亡した場合には、その市町村での住民登録は抹消されることになります。
しかし、登録自体はすぐに抹消されたとしてもその証明もまたすぐに抹消してしまうと様々な問題があるため、一定の期間(5年間)市町村役場で保存されます。この、既に抹消された住民票のことを「住民票の除票」と言います。
通常発行される住民票と同じ様式ですが、『除票』という文字が印字され、「死亡」「転出」といった抹消理由も記載されます。「転出」の場合には、「いつ」「どこに転出したか」ということも記載されます。
相続に伴う各種名義変更手続きでは、被相続人の死亡を確認する書類として必要になることが多い書類と言えるでしょう。 |
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