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相続の栞HOME > 【2.遺言の基礎知識】 目次 > 9.遺言の撤回・無効・相違など
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1.相続の基礎知識
2.遺言の基礎知識
1- そもそも遺言とは?
2- 遺言の種類とメリットデメリット
3- 自筆証書遺言とは?
4- 公正証書遺言とは?
5- 秘密証書遺言とは?
6- 特別方式遺言とは?
7- 遺言の検認手続とは?
8- 遺言執行者とは?
9- 遺言の撤回・無効・相違など
10- 遺留分とその割合
11- 遺留分減殺請求とは?
3.戸籍の基礎知識
4.相続手続の基礎知識
 4-1.預貯金等の名義変更
 4-2.年金・保険の手続
 4-3.不動産関係の手続
 4-4.税金関係の手続
 4-5.その他の手続
 4-6.相続手続の便利帳
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2-8 「遺言執行者とは?」 2-10 「遺留分とその割合」
【2.遺言の基礎知識】 -9.遺言の撤回・無効・相違など
■遺言の撤回
遺言とは、遺言者の最終意思に法律的な効力を持たせるための制度です。遺言者が死亡する瞬間に自分の最終意思を伝えることは事実上不可能なため、生前に遺言という形でその意思を明らかにすることになります。

しかし、遺言者の意思が遺言を作成した後に変化することも当然ありますので、いつでも遺言の一部又はその全部を撤回することは可能です。

自筆証書遺言の全部を撤回する場合には、保管してある遺言書を破棄すれば遺言を撤回したことになります。また、遺言は日付が新しいものが有効となるので、新たな遺言書を作成すれば以前の遺言書は自動的に撤回されたことになります。

しかし、遺言書が複数存在することは相続人間でのトラブルとなることも考えられますので、古い遺言書を破棄することや、新しい遺言書に「前の遺言書は撤回する」旨の記載をしておくとよいでしょう。

一方、公正証書遺言の場合、自身が保管してある遺言書を破棄しても原本は公証役場で保管されているため、遺言を撤回したことにはなりませんので注意しましょう。

公正証書遺言を撤回するには、新たな遺言書を作成して前の遺言書を撤回する必要があります。この際作成する遺言書は、自筆証書遺言でも公正証書遺言でも構いませんが、できれば公正証書遺言で新たな遺言を作成することが望ましいでしょう。
■遺言の無効
「遺言の無効」とは、遺言を無効とする事由が存在する場合に、遺言としての効力が生じないことを言います。

遺言の無効事由は下記があります
 (1)遺言が方式を欠くとき
 (2)遺言者が遺言年齢 (満15歳) に達していないとき
 (3)遺言者が遺言の真意を欠くときや意思能力(遺言能力)を有しないとき
 (4)遺言の内容が法律上許されないとき(※1)
 (5)被後見人が後見の計算の終了前に後見人又はその配偶者もしくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたとき(民法966条)(※2)

(※1)例えば、公序良俗に反する遺言内容や、 受遺欠格者に対する遺贈など。
(※2)後見人は後見の就任当時から任務終了までの間に後見事務の執行で生じた全ての収入・支出の計算をして、本人又は後任の後見人等に報告しなければなりません。実際に報告を見てみなければ後見人に不正があったかどうかがわからないため、この計算(報告)前に後見人やその関係者の利益になる遺言は認められないという規定です。

高齢化や痴呆老人の増加により、せっかく遺言を作成してもその有効無効について争いとなるケースは増えています。

元気な内に遺言を作成することが大切ですし、できる限り公正証書遺言とすることが望ましいと言えるでしょう。公正証書であれば、公証人が直接面接をしているので意思能力の有無を判断できますので遺言が無効となることは稀です。しかし、短時間の面接だけで意思能力を判断することは非常に難しいケースもありますので、公正証書遺言であっても意思能力の欠如によって無効とされた判例は存在します。
■遺言書に記載された財産が既に処分されていた場合
遺言書には「長男太郎に甲不動産を与える」と記載してあるにも関わらず、実際には遺言者が生前に処分(売却など)してしまっているというケースもあるでしょう。

遺言はあくまでも個人の意思によって作成するものであり、いつでも撤回することは可能です。

上記のような場合、遺言の撤回や新たな遺言書が作成されていなかったとしても、甲不動産に関する部分については撤回したとみなされます。

但し、撤回とみなされるのは該当部分だけであり、その他の部分については影響を与えません。
■遺言の効力に対する争い
遺言の効力を争うには「遺言無効確認訴訟」が認められています。これは「訴訟」となるため、家庭裁判所ではなく地方裁判所が管轄となります。

訴訟では、遺言の利害関係人が当事者となりますので、法定相続人の他受遺者も被告に加えなければなりません。

実際の裁判では遺言の無効事由や取消事由によって争点が異なることになります。

例えば、自筆証書遺言での「自書」が争点となる場合であれば、筆跡鑑定などが行われますし、意思能力が争点となる場合では、生前の医療記録を調査したり、専門家による精神鑑定などが行われることになるでしょう。
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7- 遺言の検認手続とは? 8- 遺言執行者とは?
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