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近年は「遺言」に関する書籍なども多数売られていますし、書き方のセミナーなども開催されています。
自分が亡くなった後に、財産のことで遺族にもめて欲しくないというケースもあるでしょうし、様々な点を検討した上で財産分与の割合を決めたいという方もいるでしょう。
「死人に口なし」という言葉があるとおり、人は無くなってしまえば自分の意思を伝えることはできなくなってしまいます。
・事業を一緒にやってきた長男に事業用財産を全て渡したい
・子どもがいないので、妻に全て相続させたい
・世話をしてくれた亡き息子の嫁にも相続させたい
・孫にも一部を相続させたい
・内縁の妻に財産を与えたい
・相続人がいないので、世話になった施設に寄付したい
…等々、人によって様々な希望があると思います。
しかし、その意思を遺すことなく亡くなってしまっては、もうどうすることもできないのです。
「遺言」とは、財産などに関することについて自分自身の意思表示を形にして残し、死後に実現させるための文書と言えるでしょう。
遺言は死後になってはじめて効力が生じるものなので、その時になって修正したり、説明したりすることができません。そのため、法律に定められた方法によって作成されなければ無効となってしまう場合もありますので注意しましょう。 |
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■遺言できること、できないこと |
『遺言できること』は民法やその他の法律に定められた事項だけになります。
例えば「自分が亡き後は、兄弟仲良く暮らすこと」と遺言に記載したとしても、これに法的な効力はありません。もちろん、故人の意思や希望として遺族に気持ちを伝えることは可能ですが、法律的には意味を持たない文言と言えます。
このような法的に効力のない事柄が記載されていたとしても、それで遺言そのものが無効になるというわけではありません。実際に遺言を作成する際には、遺言内容についての説明や死後の希望などを書き記す方も多いようです。
遺言できる具体的な事項としては下記のような事柄となります。
◆相続に関すること
・推定相続人の廃除 又は廃除の取消し
・相続分の指定又は指定の委託
・遺産分割方法の指定又は指定の委託
・特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言
・特別受益の持戻し免除
・遺産分割の禁止
・遺贈の減殺方法の指定
・相続人相互の担保責任について指定
◆相続財産の処分に関すること
・遺贈
・財団法人の設立(寄付行為)
・信託の設定
◆身分に関すること
・子の認知
・未成年後見人、未成年後見監督人の指定
◆遺言の執行に関すること
・遺言執行者の指定又は指定の委託
・遺言執行者の職務内容の指定
◆その他
・祭祀承継者の指定
・遺言の取消
・生命保険金の受取人の指定・変更 |
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■遺言できる人、できない人 |
遺言は自分の死後の財産処分などについての非常に重要な事項となりますので、遺言の内容を理解できる「判断能力」がなければなりません。
高齢になってからの遺言は、相続人の間で「有効」「無効」の争いが生じてしまう恐れがありますので、できるだけ元気なうちに作成しておくことが良いでしょう。
未成年や成年被後見人、被補佐人、被補助人といった「制限能力者」だからといって、全て遺言できないというわけではありません。具体的には下記のようになります。
◆未成年者の遺言
・15歳になっていれば、法定代理人(親)の同意がなくても遺言することは可能です。
◆成年被後見人の遺言
・正常な判断能力が戻っている時に、二人以上の医師の立会があれば有効です。
◆被保佐人と被補助人の遺言
・保佐人や補助人の同意がなくても、単独で遺言することが可能です。 |
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